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いかに私たちの思考回路が違っているかに驚くでしょう
グローバル化が進み、多様性が尊重される世界において相互理解の重要性を強調しすぎることはありません。DoubRing によって、私たちがいかに他者のことをほんのわずかしか理解していないことが明らかになるでしょう。
だからといってそれは悪いことではなく、むしろ大きな前進です。「いかに理解していないかを知ること」は理解を深めるための第一歩だからです。
1. コミュニケーションは幻想である
私たちの日々の悩みのほとんどは何らかの形でのコミュニケーションギャップから来ているといっても良いでしょう。ここでの問題は、私たちが他人とのコミュニケーションが有効に機能していると思い込んでいることです。アイルランド生まれの劇作家ジョージ・バーナード・ショーは「コミュニケーションにおける最大かつ唯一の問題はそれが達成されているという幻想である」という言葉を残していますが、これはコミュニケーションの本質をついた言葉であると言えます。
2.「言葉」もまた幻想である
皆さんはこう反論するかも知れません。「コミュニケーションが幻想なはずがない。人間は言葉という強力な武器を持っている。言葉を尽くせば何事もうまく伝えられるはずだ」
でも本当にそうでしょうか?言葉とは諸刃の剣であり、私たちを動物と決定的に違うものにしている反面で、ほとんどの誤解や対立もここから生まれているのです。
DoubRingが示すデータによって、私たちが日々使っている言葉がいかに曖昧で脆弱なものかを思い知らされることになるでしょう。「理想や現実」「生と死」といった私たちが日常的に使っている基本的な言葉でさえ、「ここまで違うか」と思うほど人によってその認識が異なっているのです。
3.「だからこそ」言葉やコミュニケーションが重要である
これは私たちの言葉やコミュニケーションに意味がないことを意味するのでしょうか?
まったく逆です。
言葉もコミュニケーションも幻想です。でもだからこそその2つが決定的に重要なのです。ギリシャ時代にソクラテスは「無知の知」という概念を唱えました。最高の知恵者と言われたソクラテスがたった一つ他者と違っていたのは、「自分がいかに無知であるかを自覚している」ことだったのです。コミュニケーションについても「いかに伝わっていないか」の自覚が全ての始まりと言えます。
DoubRingは私たちの無知への気づきとなり、言葉やコミュニケーションの触媒となるでしょう。
1. 他人を知る
DoubRingの結果は、私たちの多様性について教えてくれます。選択肢のばらつきの大きさは思考回路の多様性そのものです。何気なく日々会話していた人たちの言葉の定義ですら、実は全く理解していなかったことに改めて気づくことができます。
2. 自分自身を知る
他人の思考回路を知ることで他ならぬ自分自身のことも改めてわかるようになります。自分自身のことを知る最も簡単な方法は、他人とどう違うかを認識することだからです。DoubRingで自分自身の相対的な理解を深めるとともに、自分の価値観を他者との比較で表現できるようになります。
3. 思考力を鍛える
図解は抽象化の賜物です。抽象化は人間の思考や創造性の基本となるものです。 DoubRingによって言葉や概念を表現するのは、実は非常に高度な知的作業と言えます。改めて基本的な言葉の関係を「2つの円」で表現することで、自分が持っているその言葉の特徴を抽象化するトレーニングができます。
前提条件がないからバラついて当然?
もしかすると皆さんの中には「そもそもDoubRingの質問の仕方そのものがおかしい。前提条件が曖昧なのだから、結果はバラバラになって当然だ」という人がいるかも知れません。例えば「現状」を表現するか、「あるべき姿」を表現するかによって当然選択肢が変わってきますが、それは問題には記述されていません。
全くその通りです。ところがまさにその「不完全さ」こそがDoubRingで問題提起したいポイントです。結果が違うのは「前提条件が違う」からなのです。
DoubRingは日々のコミュニケーションの縮図
でも考えてみれば、それは私たちの日々のコミュニケーションの不完全さそのものといって良いでしょう。毎日頻繁に用いる言葉の前にいちいち全て前提を述べてからいう人などいないと言っても良いでしょう。DoubRingはコミュニケーションの縮図とも言えます。